千葉の落葉樹(1)

夏は木陰を作り、冬は日差しを通す。四季を通して新芽、新緑、花、紅葉、落葉、枝振りといろんな姿を見せてくれ、飽きない。

• ケヤキ 欅

「ケヤ」は古語で「すばらしい」意味とのこと。枝振りは幅広い箒を逆さにした形で見事で遠目でも分かりやすい。葉が小さく縁はギザギザ、幹の表皮は丸く剥がれる。「千葉市の木」

街路樹で太く大きいのは日本の北の方ではケヤキ 南ではクスノキが多い(仙台市常善通りのケヤキ 広島市平和公園のクスノキ)。千葉では二つともよくみられる。

*体操で ケヤキのように 両腕を 斜めに挙げて 深呼吸

最近、街路、公園などに植えられて、大きく立派になったケヤキが、枝の途中からバッサリ切られているのを見かける。上にあげた腕が切られたケヤキは痛ましく、ケヤキらしくない。電線にかかる、倒れそうだ、交通上に問題がある、落葉が多くて困る、管理敷地から出ているから、など色々な理由があるのだろう。国の施設敷地の端にあり、敷地以外の問題がなさそうな場所にあった、みごとなクスノキの大木の太い枝が切り落とされたのを知っている。公共施設では管理責任より自然環境保全を重視して欲しいものです。住民から意見があり、対応している場合が多いのでしょうが。

≪樹幹被覆率≫

神宮外苑開発問題では「木の本数は増える」との説明があるようです。また都で、公園や池などを加えた「みどり率」は悪化してない、とのこと。「緑被率」(地表の平面的な緑の割合、屋上の緑化も含まれる)を意識した政策がとられている。しかし西欧では「樹幹被覆率」30%を目的にしてるとのこと。枝が茂っている割合で、枝の下で20℃も違うとの主張があります。夏の40℃近い猛暑の中で、管理上の問題への対応中心でいいものですかね。

• エノキ 榎

昔は一里塚に植えられた、 名は「余の木」が訛ったとか。葉脈は葉裏につきでて縦の線が目立つ、 葉の先のほうにゆるい鋸歯がある。幹の所々に横に皮目が入るのが見分けのポイント。 赤い実に鳥が寄って来る、 秋には葉は黄色に染まる。 

 ムクノキ 椋木

ムクドリが赤い実を食べに来るから。  

葉脈はきれいに広がり、縁の鋸歯もそろう。 若いほど幹は白くきれいで、「無垢の木」の謂れもある。

・イヌシデ 犬紙垂

シデは花が長く垂れ神棚の四手(紙垂)に似るから。 役に立たないからイヌ?とはねえ。        葉にはっきりした鋸歯、幹は白っぽく縦斜め筋の模様がはいる。古木では幹を捻ったようになり貫禄がある。大きいとその幹様がアカシデ(ソロ)に似る

• コナラ 小楢 

春に山際で白っぽく光っているのはこれかな、新しい葉の毛が光に映える。幹に黒いっぽい綾目模様が区分のポイント。ドングリがいっぱい落ちる。

• クヌギ 橡

葉の鋸歯が鋭い、幹に深い切込みが入る。                                    殻斗がふっくらしてドングリらしいドングリ。                          加曽利貝塚で見事な木がみられます。

• ナンキンハゼ 南京櫨

街路樹でみかける。春雄花が長く垂れる。丸い実がつき皮が割れると白い種が3個でてくる、良く燃え、蝋の材料になっている。ハート形に近い葉が新緑も紅黄葉もきれいで、秋に赤黄緑の3色の葉の中に白い実が見えるときはすばらしい。

• モミジバフウ 紅葉葉楓(アメリカフウともいう)

名と違いカエデ科でなくマンサク科。大きい木で枝ぶりが堂々としている。葉が大きく5-7裂片になる。秋に赤黄緑のコントラストが素晴らしい。実は丸く大きく1個ずつぶら下がり、種がはじけると突起が一面にでて飾りにしたいものになる。

葉が3裂しているのは単にフウ、別名タイワンフウ、サンカクバフウという。富山で街路にあったが、この辺では見かけていない。トウカエデのような葉。

冬に落ちている大きな丸い実は ほかにズズカケノキ トチノキかな。

≪紅葉とは?≫

木は葉を落とす前に葉の栄養分を幹まで運ぶ。この時緑色のクロロフィルが先に分解されて、影の立場だったカロテノイドの黄色が目立つので、「黄葉」する。クロロフィルが分解されると赤色のアントシアニンが作られるので、「紅葉」する。

• アオギリ 青桐

アオギリは花が緑でめだたない。幹は緑ぽい。

大きな葉で、紫色のはなが立ち上がるはキリ。タンス、ゲタは高級品。 幹は白っぽく斑点がある。

• ヤマボウシ 山法師 

花の下の苞葉が白く、山法師の頭巾ににているから。 つぶつぶで赤色の実が立ち上がってつく、美味しくはない。葉も花も実も空を向く。葉は丸みがあり、紅葉も見どころ。

ホンコンエンシスとかヒマラヤマボウシヤとか、常緑のヤマボウシを庭先にみかけるようになった。

• ハナミズキ 花水木

ミズキ科で日本のミズキは枝をきると水がでて渇きを補ったとか。アメリカハナミズキと表示してあるのをみたが、桜の見返りにワシントンから送られたもので アメリカをつけることはないようです。 アメリカヤマボウシの間違いだったかも。英語ではdogwoodだそうです。白色が多いが ベニバナハナミズキもみるようになった。枝ぶりが広々と気持ちが良い姿です。

• ユリノキ 百合の木

大きな木でスポーツセンターなど広い場所に植えてある。葉の形が特徴あり、半纏の形でハンテンボクとも。花が上向きに百合の花に似るが、緑色で余りめだたない。英名はチューリップツリー。

• センダン

インド産の「栴檀は雙葉より ……」とは別種で、古典に「オウチ」で登場するやつ。ファーストサマーウイカが書いた「枕草子」に「あふちの花いとをかし」とあるようです。江戸時代まで獄門になった罪人の首を架ける木として忌み嫌われたそうで、余り庭先には見かけない。

成長が早く大きくなる。淡い紫色の小さな花を集めてつけ、目立たないが情緒がある。花後に薄茶色の身をぶら下げる。

複葉を広げるので夏の良い日陰になる、日除けにはこれとネムノキがよいと思う。狭い我が家で太くなり過ぎたので、切ったが、材は柔らかく、枝は簡単に折れた。管理はしやすいと思う。その実生があり、今は鉢で世代を継いでいる。

• イチョウ

「金色のちいさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の丘に」(与謝野晶子) 以上。

路上にギンナンが落ち 人が踏んで臭いので、街路には雄木だけになっている。拾って食べる人が居なくなった。食べるための手間の掛け方を知られないし、茶碗蒸しも変わってきたからね。でも塩をふった串焼きは美味ですよ。お姉さんが近江市場で仕入れた銀杏をフライパンで炒って、口が開いたら熱いうちに手か道具で裂いて実をとりだし、内皮をはがす。その5個ほどを串に刺し、炭火であぶり、塩をふってくれる。金沢の「吉野」の味が懐かしい。

ヒコバエを土に挿したら根づき、小さい鉢に20年ほど居座っているのがウチにいます。

• アキニレ 秋楡

街路公園にみられる、紅葉もきれい。

葉が小さく細かい鋸歯がある、葉がニレハムシに酷くやられているのを見た。ケヤキもこの虫にやられるこことがあるようだ。幹の表皮は丸く剥がれる

ハルニレは大きく幹は杉のようで街路には置けない。

• ネムノキ 合歓の木

枝を上向きに広げて、その枝に上向きに淡いピンクの花(雄しべが目立つ)が咲く、合歓ネムノキでしかない。葉は夜に閉じ眠る、マメ科らしく対生。

• サルスベリ 百日紅

 赤花が多いサルスベリ百日紅は幹皮が縦筋状に剥げて、白っほくなめらかになり、猿も滑りそうです。皮は丸まって棒状になる。白花もみられる。シマサルスベリは白花で、全体により大きく、幹は剥げてまだら状に白っぽい。両方とも庭に見られ、真夏の白花は涼しげです。今年伸びた枝に花をつけるので、枝はすべて幹から切り取られ、冬には裸状になる。

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